しし座流星群2001報告


しし座流星群2001報告



2001年17日〜19日にかけて、しし座流星群を観て来ました。

まず、17日の夜。
ひまわり画像を見ると、日本が殆ど雲で覆われています。
これではどこに行ってもまともに星空が観られません。ぎゃー。1年前から楽しみにしていた私は目の前が真っ暗になりました。
テレビの天気情報では栃木や群馬の山間に行くべきとのことでした。

結局この日は友人Kの車で群馬県にある「ぐんま天文台」に向かいました。
ここには口径150cmや65cmの反射望遠鏡、そしてミニデジタルプラネタリウムをはじめ、いくつかの展示物があるので、最悪、流れ星が見られなくても別の付加価値があります。
(ちなみに、反射望遠鏡では土星やらくじら座のミラやらを観せてもらいました)

で、肝心の流れ星ですが、空は晴れたり曇ったりの繰り返しです。
たまに雲の切れ間から星が姿を見せることもありましたが、流れ星自体は殆ど流れません。カメラの設置もしましたが、殆ど撮る意味のない天気です。
そうこうしているうちに完全に曇ってしまい、しかも小雨が降ってきたので(泣)、早々に撤収しました。まあこれは、本番である翌日に備えて体力温存する意味もあるのですが。

実は、この17日夜の観測はそれなりに意義のあるものでした。
今回の撮影で使うAF一眼の銀塩カメラは買ったばかりの新品。今回が試運転なのです。
というより、買ってきたばかりのため、ぐんま天文台に着いた時点では、まだ取り扱い説明書すら読んでいない状況だったのです(おいおい)。
18日の本番で失敗するわけにはいきません。観測現場は真っ暗。他の人に迷惑になるので明るい照明は使えません。そのため、機能をある程度は理解していないといけないのです。
しかしまあ、おかげでこの日は十分に事前テストをすることができました。


さて、これからが本命の18日の夜。
この日は長野県の「八ヶ岳自然文化園」に向かいました。
ですが、現地に向かう車の窓からは相変わらずの曇り空しか見えません。
「今年もダメか・・・」と半ば諦めかけていましたが、八ヶ岳自然文化園に近づくにつれて雲も切れてきて、星がちらほら見えてきました。
そして現地に着く頃には天の川まで見える満点の星空。完璧です!
去年から今年にかけて、メジャーな流星群はことごとく天気に恵まれていませんでしたが、今回のしし群で晴れれば、それらを清算してお釣りが来ます

現地では、赤いセロファンをかぶせて光量を落としたペンライトを片手に散策し、いい観測スポットを確保しました。カメラをセットし、極大時刻に備えます。

しし座が昇ってくる前くらいから、流れ星がちらほら見られるようになりました。
方向から考えると、必ずしも「しし座流星群」に属さない、普通の流れ星も多いです。
(ちなみに、しし群の流れ星は、速度がゆっくりで明るいです)
そして、23時過ぎには、かなり尾の長い、素晴らしい流れ星(火球)がいくつも流れました。
通常の流れ星は一瞬で終わってしまうため、他の人が発見して「あっ!」と発声したあとにそれを探して観ようとしても、既にその姿はなく、観られないのが普通です。ところが、この23時過ぎの流れ星は、ゆっくりと長ーく流れるので、他の人が騒いでから探しても間に合うのです。見つけるのが遅れても、流星痕が残っていたりします。
今思うと、これならば流れ星が消える前に願い事を3回言えたかもしれないです!残念!(笑)

その他にも、流れてから爆発するように明るく光るものもいくつかありました。
私にはこれらが、大出現の前哨のように思えました。
(「さあ、始まるざますよ!」という、怪物くんオープニング前のドラキュラ伯爵のセリフのようです。・・・完全蛇足ですね)

さあ、いよいよアッシャー博士の極大予想時刻。
その時刻あたりから、流れ星が降る降る。これは凄いです。
(アッシャー博士、ごめんなさい。実は全然信用していませんでした
いやあ、素晴らしい。何年も前から夢にまで見た大出現です。 流れ星観測を始めて4年になりますが、問答無用でベストです。パチンコの大当たりフィーバー状態です。
流星雨とまではいきませんが、これだけ流れれば十分です。次々に流れるので全然飽きません。
予想時刻が終わってから、さらにダラダラ流れ続くのも、いい意味で予想を裏切られました。サービス満点です。
「道を歩いていると夜空に流れ星が」なんていうシーンをテレビなどで見かけることがあると思いますが、それが現実に起こるんですから、感無量です。

今年は、ちょうど日本の夜に極大を迎えるうえに、月がありません。
こんなにいい条件が揃うのは、私が生きている間では最初で最後でしょう。
四方八方に流れ星が乱舞する様を観られたことは、一生モノの経験です。

写真も撮りましたが、はっきり言ってフィーバーして以降は入れ食い状態。シャッターを開けておくと、勝手にフレームに飛び込んでくるのです。
これまでの流星群では、1時間に数個流れる流れ星をがんばってファインダーに収めようとしていましたが、それがバカバカしいくらいです。

下の写真は北斗七星付近です。
輻射点であるしし座は北斗七星の右側にありますので、
その方向から飛んでくるケースが多いです。



下の写真はしし座付近。
しし座は「?」を左右ひっくりかえしたような鎌の形が目印です。


ちなみに、19日明け方は一番の冷え込みで、死ぬほど寒かったです。
何しろ、かぶっている毛布の表面が凍ってるんですもん
持って行ったサンドイッチもシャリシャリでした。これではアイスです。(特にトマト!)
なお、カメラの大事なレンズが凍ると写真撮影に影響するので、あらかじめカイロを設置して温めていたので大丈夫でした。よしよし。

それにしても、この日はとにかく流れ星が流れました。
一晩で4桁近く観たかもしれません。
ナマであれが観られた感激を忘れることはないでしょう。

アッシャー博士は、来年の大出現も予想していますが、日本ではちょうど昼間にあたりますので、観る事はできないでしょう。 そういう意味では、次の機会は30年後。
それまで視力を鍛えておきたいもんです。

素晴らしい流星群でしたが、問題が一つだけあります。
こんな大出現は当分ないわけですから、今後の流星群はどうしても見劣りしてしまいます。
「あのときに比べたら全然流れないなぁ・・・」
と当分言い続けそうです。(涙)



  2001/11/24 no-be-