流星群 観測心得


流星群 観測心得



流星群の観測にあたって、注意点等を紹介します。


観測アイテム

まず、観測するのに必要なアイテムを揃えましょう。
結論から言うと、流星群観測のために特別に買い揃えるものは殆ど何もありません

天体望遠鏡があった方がよいと考える人もいるかもしれませんが、流れ星を見るのなら肉眼で十分見えます。
流れ星はどこに流れるか分かりませんから、広い視野を確保したいものです。ところが天体望遠鏡を使うと、見事に視界が狭まってしまいます。ですから、流れ星をたくさん見たいのであれば、肉眼がいいでしょう。
さらに、地面に寝っ転がって見ると、より広い視界を確保できます。
双眼鏡を使うと、視野は狭まりますが、肉眼では観測の難しい、やや暗い流星を見ることもできます。この場合、輻射点付近を集中的に観測することになります。

観測は夜になりますから、懐中電灯はあったほうがいいでしょう。ただし、明るい光があると、せっかく目が闇に慣れたのが台無しになりますから、赤いセロファンを巻くと光量を落とせて便利です。
真夏の観測ならまだしも、日本の夜は冷えます。防寒具は必須です。使い捨てカイロや毛布があるといいでしょう。
星座早見盤があると、実際の空を確認できるので、便利です。ない場合は詳しい人に聞きましょう。


観測場所

次に、観測場所をどこにするかを検討しましょう。

流れ星は、夜空が暗ければ暗いほどよく見えます。とにかく、周りに光がない事がもっとも大事です。

海だと邪魔な建物等がありません。ですが、灯台があったり、水蒸気が発生したりするので、できれば、空気の澄んでいる山や高原がいいでしょう。清里八ヶ岳に行く人が多いようですね。
ともかく、夜空に天の川が見えるようならば文句なしです。

それでは都市部では全く見えないのでしょうか?
比較的安定して明るい「3大流星群」(しぶんぎ座流星群・ペルセウス座流星群・ふたご座流星群)や、1998年・1999年にピークが訪れる「しし座流星群」ならば、明るい流星も多く見られます。
ですから、都市部でも数が少ないながらも見られると思います。
現に、私の家は渋谷にあるので、通常の夜空では一等星程度しか見えないのですが、このような非常に劣悪な環境でもそこそこ見えました。


最大の敵

天体観測の最大の敵は、なんといっても「天気」です。
雨が降ったら夜空に星なんて完璧に見えません。
それどころか、曇りですら見えないのです。
晴れでなければダメ。非常に厳しい条件です。
33年に一度の流星群であろうと、天気は手加減してくれません。大自然は非常に冷酷なのです。

天文バカは、車を用意します。車があると機動力が格段に上がります。そして、ノートパソコン&携帯電話を用いてインターネット天気予報をこまめにチェックし、気象衛星ひまわりの画像を見ながら、晴れている地域を目指してひたすら走るのです。

しかしうまく天気が晴れたからといって、安心してはいけません。
」も敵なのです。
とにかく月は明るいのです。その近くにある星は一等星でもない限り、見えなくなります。
満月が一晩中出ていると、条件はかなり悪いと言えます。
月齢と月が沈む時間は、事前に把握しておきたいものです。


どこを見る?

一般的に流星群においては、流れ星は「輻射点」を中心に放射状に流れます。
ですから、基本的には、輻射点のある方角を見ることになります。(ロケーション選びの際には、その方角が開けているところを探しましょう)
厳密には、むしろ完全な中心部では見えず、そこから少し離れたところで光ります。

しかし、輻射点方角にしか見えないわけではありません。実際にはかなり四方八方で見られます。
現実に、1998年のしし座流星群では、明け方4時頃の大火球は、輻射点のある東ではなく北で観測されています。

というわけで、「3大流星群」や「しし座流星群」では数が多いので、必ずしも輻射点を見なければいけないわけではなく、どこを見ていても流れ星は見られるということになります。(さすがに輻射点の正反対は少ないでしょうが)

なお、流れ星は地球の引力の関係で、普通は上から下に流れます。
ですが、輻射点が地上に近い場合などは、下から上に流れるように見えることもあります。あくまでも見かけ上の問題なんですけどね。


極大の時間

流星群の極大日と時間は、大体予想できます。
しかし、流れ星のモトになる物質の分布は、一様ではありません。極大時間の予想は非常に難しいのです。
従って、極大時間が大幅にずれることがよくあります。
実際に、1998年のしし座流星群は日本で最もいいタイミングで見えるはずでしたが、極大時間が予想よりも18時間ほど早く、ヨーロッパでたくさん見られました(1時間に300個ほど)。
ですから、極大時間だけでなく、その前後1日も注目したいものです。




  1999/11/14 no-be-