食べ物で遊んじゃいけません!

食べ物で遊んじゃいけません!


私は、食べ物をダシにして遊ぶ事が多いです。
食事中に、誰かがまずそうな食べ物をつくり、
「じゃあジャンケンで負けた人は罰ゲームでそれを食べるってのはどう?」
などという展開になったりしませんか?
我々はそれをもう少し計画的に行ったりします。
ここでは、私がどのように食べ物で遊んでいるか、その歴史を紐解いてみたいと思います。


(1)草創期 −はじめに焼き肉ありき−

かなり昔、友人宅で焼き肉パーティをやった時のこと。色々な焼き肉のタレを用意して、ゲームで勝った人から自由に選んでいくという遊びを提案しました。このときのゲームは確かクイズか何かだったと思います。
ゲームで勝てば、まともなタレで焼き肉を食べることができますが、負け続けると、変なソースでしか焼き肉を食べられないのです。
ちなみに用意した焼き肉のタレは、普通のタレ、醤油、といった普通のソースの他、「ホワイトソース」「カレー」「砂糖」「チョコレート」「ジャム」「ピーナッツバター」など多数。
この中でピーナッツバターに当たった友人はよっぽどショックだったらしく、すっかりトラウマになってしまい、それ以降ピーナッツバターを見る度に拒否反応を示すようになってしまいました。
以上が、私が初めて意図的に食べ物で遊んだ、記念すべき企画です。最初なので、それほど酷いタレはありません。かわいいもんですね。


(2) ルネッサンス −自炊で−

以前、毎年友人の別荘に遊びに行ったのですが、そこでは食事は自炊になります。そうなると食べ物を使った遊びの企画が始まってしまいます。
中でもエンターテイメント性が高かったのは、寿司でした。各人がオリジナル寿司をたくさんつくって、どれを食べるかはサイコロで決めるという遊びです。
寿司で当然考えられるのはやはり、わさび。「スーパーわさび握り」は自分が当たらなくて本当にほっとしました。あとは「ストロベリージャム軍艦巻き」も逃げようのないシンプルさが凶悪でした。それ以外にもかなりひどい寿司をたくさんつくったはずなのですが、残念ながらいまいち詳しい記憶がありません。適応規制が働き、脳がイヤな記憶を消し去ったのでしょうか。
同様の遊びでお好み焼きもやりました。各人が特製お好み焼きをつくり、ランダムに決まった相手に食べさせてあげるのです。
フルーツ缶の具をふんだんに入れた「フルーツお好み焼き」は、焼くと甘い香りがしてクレープのような錯覚を起こさせますが、ソースを塗った時点で現実に引き戻され、実際に食べてみると豚肉やキャベツもちゃんと入っている事を認識させられ、愕然とします。ただ、お好み焼きは色々な材料を混ぜてソースを塗ると、結構食べられるものになってしまい、いまいち破壊力のある食べ物になりません。これは大いなる反省点です。おそらく、ルウの及ぼす影響が大きいシチューやカレーも同様でしょう。


(3)高度成長期 −改良−

これまでの遊びでは、本来しょっぱいはずの食べ物に甘い要素をいれてまずくする傾向にありました。そのため、甘い物の耐性が強いある友人は、それほどダメージを受けなかったのです。それは不公平ですよね(そうか?)。
また、お好み焼きの時に、いろいろと混ぜてしまうとまずさが和らいでしまうことも学びました。
そこで考えたのがかき氷。かき氷のシロップをゲームで決めようというものです。
かき氷のベースは味のない氷。素材の味がシビアに浮き上がり、破壊力が倍増するのです。また、甘党にもダメージを与えることができます。ある意味これは究極で、私はかき氷を考えついた瞬間「俺は天才だ!」と思いました(何の?)。巻き込まれる友人たちからすると私は天災に他ならないのですが。
シロップとしては通常のメロンやイチゴシロップの他に、「ソース」「カレー」「イカスミソース」「しょうが醤油」「ユッケジャン」「納豆」などを用意しました。「イカスミかき氷」に至っては、「凍った墨汁」に過ぎず、脳がクラクラしてしまいました。


(4)そして今 −ファミレス・ルーレット−

そうこうしているうちに別荘の持ち主が結婚してしまって、行く機会が殆どなくなり、以前のような遊びをする機会が減ってしまいました。そこで最近定期的に(!)行っているのは、ファミレスで大量に食べること。もとい、大量に注文することです。
(私個人としては、人間、たくさん食べられなくなったら年寄りの仲間入りで、もうおしまいだと思っています)
ファミレスで、各自好きな食事を自由に注文します。これは自分で食べる分です。その他に、サイドオーダーやデザートを大量に注文します。どれだけたくさん注文するかというと、6人でレシートが30cmを超える程度です。
そして注文したものが届いたら、ジャンケンやサイコロでそれを食べる人を決めます。当たったものは自分が食べるものですから、決して他人にあげてはいけません
基本的には代金は割り勘なので、サイコロの目が自分にたくさん当たって食べられるとトクだということになります。
最初の頃は食べ物が当たると嬉しいのですが、後半になるにつれておなかがいっぱいになり、当たると嬉しくないどころか辛くなってきます。このゲームをすると、どういうわけかみんなに平均的に分配されることが少なく、誰か1人に集中して地獄を見る事が多いです。一方、運が悪くて殆ど食べられない人が出てきたりもします。これがファミレス・ルーレットの醍醐味に他なりません。
サイドディッシュがどれくらい自分に当たるかを予測した上で、自分の分の料理を注文するところに、この遊びの面白さがあります。

ちなみにデザートをまず最初に注文してみんなで食べると、メインディッシュの前にいきなり血糖値が上がって満腹感で満たされますので、なかなかデッドリーです。一度お試しください。
ちなみに上記ファミレスルーレットは週に2回以上やってはいけません。体重が増えまくってしまい、泣きたくなります。


<最後に 〜鉄の掟〜>

ちなみに、「食べ物で遊ぶ」などという表現を使うと、往年の名番組「8時だヨ全員集合」を連想して、「食べ物を粗末にするなんてもったいない」というお叱りが来るかもしれません。
しかし私はここに宣言します。我々は自分たちの意志によって食べ物で遊んだ場合は、その食べ物を残すことはありません。イベントが終わった段階では、使用した全ての食べ物は、誰かの腹の中に入っています。
これが我々の食べ物の神様に対しての仁義です。

断っておきますが、まずいものを食べるためや、ムリヤリ腹一杯にして苦しむために、この遊びを行うのではありません。全員が完全に平等な条件のもとにゲームをする事によって親睦を深め、また、連帯感を高めるために行うのです。私は本当にそう思っているのですが、巻き込まれた人はそうは感じてくれません。親の心子知らず、とはこのことですね(おいおい)。







  1999/06/23 no-be-