インチキダイエット術

インチキダイエット術
〜減量しないで体重を減らす方法〜


<インチキダイエット大作戦のはじまり>

 ダイエットをしても体重がなかなか減らないあなたに朗報。
 どうせ減らないのなら、ダイエットを全くせずに別の切り口で体重を減らす方法について検討してみましょう。

 私が最初に思いついたのが、風呂の中にざぶんと体重計を入れ、その上に乗る方法。
 これだとアルキメデスの法則により、確実に浮力分だけ体重計の針が軽い目盛を指します。
 でもこれはどインチキですね。水なんて使ってはダメです。
 あと、どこぞの遊園地の絶叫マシンに乗って、落下する瞬間に体重計に乗る方法。
 一瞬の無重力状態を利用すれば、体重計は0に近い数値を出すでしょう。
 体重計の計りの部分の重さもなくなれば、体重がマイナス表示されるかもしれません(笑)。
 でも、これも激インチキですね。
 同様に無重力である宇宙に出るという方法もありますが、当然ながらこれもズルです。
 やはり、あくまでも地上で計るべきです。

 ただ、地上ならば、どこでもいいですよね?
 というか、地上を自由に移動するくらいの工夫はさせてください。(それすら許されないと、この企画自体がパアなので、勘弁してください)
 そんなわけで、地上において科学的に体重が一番軽くなる場所を探すことにします。

 それにしても、地上で体重が軽くなる場所なんてあるのでしょうか。
 ここで月を例に考えてみます。月の重力は地球の6分の1です。月面で人間がふわふわと移動する映像を見た人も多いと思いますが、重力が6分の1になると体重も6分の1になるのです。
 つまり、地上で重力の一番低いところを探せば、それに比例して体重は軽くなるはずなのです。これを利用して、計測地点を変えるだけで労せずして体重を軽くしようというのが今回の作戦であります。
 さあ、いってみよう!


<引力を利用しよう>

 地球の重力というものを考えてみます。
 基本的には、重力は地球の引力と直結します。ご存じだと思いますが、引力とは地球がみなさんを引っ張る力です。昔、ニュートンがリンゴで実験しましたね。
 もし引力がなかったら、みなさんは宇宙に放り出されてしまいます。
 で、この引力は、地球の中心に近いほど強く、離れるほど弱くなる性質があります。
 ですから、標高が高い所に行けば体重が軽くなる、と言う事ができるのです。
 よし、じゃあ一番高いところに行こう、と考えるのは早計です。まだ他にも体重が軽くなる要素はあるのです。


<さらに遠心力も利用しよう>

 重力に関係するのは引力だけではありません。遠心力も関係します。
 車に乗っていると、カーブを曲がるときに外側に引っ張られる力を感じると思いますが、これがご存じの通り、遠心力ですね。
 地球は回っています。そのため、先ほどの車の例のように、地球にも遠心力が働き、地球外に引っ張られる力が生じます。この遠心力が強いと、差し引きで重力は少なくなるわけです。
 つまり、重力とは、引力から遠心力を引いた値なのです。
(もし地球の引力よりも遠心力の方が大きいと、地上のものは宇宙に飛んでいってしまい、地表には何も残りません。実際には地球の引力の方が大きいので、そんなことはありませんが)
 で、一番遠心力が働くところはどこかというと、回転半径の一番大きい所・・・ズバリ赤道です。逆に北極点や南極点では遠心力は殆ど働きません。
 ですから、赤道上にいれば、一番体重が軽くなるはず!


<んでもって月も太陽も利用しよう>

 さあ、どんどん行きましょう。
 今度は地球だけでなく、月の引力も借りてしまいましょう。
 地球の海には満ち干というものがあります。
 これはつまり、月の引力との関係で、海面が持ち上がったり下がったりする現象です。
 持ちあがるほうを満潮、下がる方を干潮といいます。
 このうちの「満潮」をうまく利用すれば、理論上体重は軽くなるはずです。

 実は、月だけでなく、太陽の引力も地球に影響するのです。
 太陽の引力は月の半分ほどではありますが、利用しない手はありません。
 「大潮」という単語を聞いたことがあるでしょうか?これは、太陽・月・地球が一直線に並ぶ現象です。具体的には満月の時か新月の時なのですが、これにより、普通の満潮よりも大きな力が働きます。

<さあ、どれだけ減るのかな?>

 というわけで、これらを全て総合すると、
 月と太陽が同じ方向に並ぶタイミング(大潮)で、赤道上にある一番高い場所に行けばいいのです。
 そこに自宅と同じ体重計を持って行って計れば、全くダイエットすることなく、労せずして体重は軽くなっているはずです。
 やったぁ、ばんざーい!パチパチパチ。

 ところで、どのくらい軽くなるのかが気になりますね。
 資料によると・・・

 まず赤道に行った場合。
 赤道上の重力は、日本の緯度での重力に比べて0.3%ほど軽くなるそうです。・・・って、あれ?それだけなの?

 同様に、標高差による重力の減り方は・・・
 地上から1m高くなるにつれ、約0.00003%だけ重力は小さくなります。
 ・・・って、おい。富士山の高さですら、0.1%しか変わらないやん。

 両方を加味しても、せいぜい0.5%しか変わらないわけですか・・・

 ちなみに、大潮による体重減少については、資料がありませんが、これまでの実績を考えると、これまでの要素全てを合わせても、1%減にも満たないと思われます。

 えーと。
 ・・・ゴホン。

 だ、大丈夫ですよ。赤道上の標高の高い場所・・・例えばアフリカの奥地の高山とか・・・に行くために、道なき道を進んだりして苦労して登山とかすると思いますので、それがいい運動になってきっと痩せますよ。・・って、あの、ごめんなさぁい。

 要するに、手垢のついた結論で恐縮なのですが、体重は簡単に減らないってことですね。
 まあこの作戦自体、実際にその人の体重が軽くなるわけではなく、あくまでも見かけ上だけしか変わらないわけで、やっぱり地道にダイエットしましょう。
 しかしまあ、これだけ頭を使っても、収穫が殆どないというのも、たまにはいいもんですね(涙)。

− 完 −


※この理論は誰かに確認したわけではありません。もし間違っている事が分かったら、ご指摘いただけると幸いです。
ちなみに、話が複雑にならないために干満については大幅に省略しました。体重が軽くなるタイミングは大潮の発生する時刻とイコールではありません。月と太陽が同じ方向に並ぶタイミングが一番重力が働くタイミングで、このあと多少のタイムラグを経てから、地球上では大潮が発生します。


<追加情報>
インチキダイエット・体重ごまかし術の新着情報です。
体重計の下にバスタオルを2枚合わせて敷いて、体重を測ると、実際の体重より3kgほど減った表示 になり、座布団を敷いて測ると5kgほど減った体重が表示される・・・そうです。
で、早速実験してみると、確かに少し減って表示されます。
那珂川氏の分析によると、バスタオル等のせいで体重計が地面と水平ではない、つまり引力の方向と垂直でなくなってしまったために、計測がおかしくなったのではないか?という話です。

itoさんによると、「バスタオルがばねの代わりになって縮んだ分、体重計のばねの縮む長さが少なくなるのです。」とのこと。なるほど、そうかもしれません。


  1999/04/11 no-be-